窓際のブラウニー
『ゆき』と『雪子さん』
重なる2つの影。
田所さんの大事な2つの命。
これ以上私はあなたに甘えるわけには行かない。
あなたの家庭を壊したくはない。
でも、割り切って付き合える程私は大人ではない。
「雪子さん・・・が、名前を付けたんですか?」
終わりを覚悟して質問した。
雪子さんの名前を口にすると、全てが終わってしまう気がしていた。
怒るでも
ごまかすでもなく…
田所さんは、頬に一筋の涙を流した。
その涙の意味を想像しようとしたが、
美しいその涙に吸い寄せられるように私は
ただただ目が離せずにいた。