窓際のブラウニー
田所さんの涙のわけは私には全く想像ができなかった。
マスターが、静かに咳払いをひとつした。
きっとマスターなら全てを知っているんだと感じた。
「雪子は…もういないんですよ。ゆきは、雪子の分身なんです。」
雪子さんは
もういない?
「ゆきは、雪子が保健所から見つけてきた犬だったんだ。どうしても里親を探すと、雪子は必死になっていた。その時雪子が出逢ったのが、ここのマスターだったんです。」
そう言って、田所さんはコーヒーを入れるマスターに視線を向けた。