窓際のブラウニー
第13章【田所さんの傷】
「ゆきの里親は結局見つからず、雪子はうちで飼いたいと言った。
でも、僕がだめだと言った。
同情で飼ってしまうと、これから先どれだけ増えていくかわからない、と雪子を叱ってしまった。
ゆきが安楽死させられる日の朝、最後にゆきの姿を見に行く途中、雪子は交通事故でこの世を去った…」
私の頭の中には、さっき写真で見た白い犬と、想像していた雪子さんの姿が浮かんでいた。
田所さんは、祈るように両手を絡めて、その手をじっと見つめながら話した。
私は、頷くことしかできなかった。
そんな悲しい過去があったなんて…
信じられない気持ちで話を聞いていた。