窓際のブラウニー
「雪子は、その白い犬のことをシロと呼んでいた。僕は、その犬を家に連れて帰り、ゆきと名付けた。ゆきがいなければ、僕は雪子の死を乗り越えることはできなかった。」
田所さんが写真を撮り始めたのはそれからだった。
ボランティア活動に積極的だった雪子さんに連れられて、何回か足を運んだことはあったらしいが、自分には何もできないとあきらめていた。
雪子さんの死を無駄にしない為、雪子さんが天国で笑っていてくれる為に、田所さんは捨て犬や捨て猫の写真を撮り始めた。
里親を探す活動に参加した田所さんが、そこで初めてここのマスター夫婦に出逢う。
雪子さんと知り合いだとは知らずに親しくなり、家に招いた。
そこで、マスターはゆきを見て、田所さんが雪子さんの夫だと知る。