窓際のブラウニー
私の入る隙間もないくらい、田所さんは雪子さんを愛している。
それが伝わって、寂しさよりも少しホッとした。
私は不倫なんてできる人間じゃない。
でも、夫と別れてまで田所さんを追いかけることもできるわけがない。
夢から覚めるには充分過ぎる現実を知った。
田所さんは、寂しい私を助けてくれるだけの人。
私は、それを受け止めながら、田所さんの涙を見つめていた。
「本当に心優しい奥さんだったんですね。」
田所さんは涙を拭い、少し微笑んだ。
私の好きな包み込むような笑い方。