窓際のブラウニー
「ええ、僕にはもったいないくらい優しい人でした。僕は、妻に誓ったんです。これからの人生、ずっと僕は君を愛していくと… 君の意思を継いで、ボランティア活動をしながら、犬や猫の写真を撮り続けるって。」
店内に流れる小さな音のオルゴールだけが響いていた。
もうお客さんがいなくなっていて、会話はマスターにも聞こえていた。
「誓ったんだけど… 今も雪子をを愛しているのに、僕は真千子さんを求めてる。」
マスターに聞こえないくらい小声で田所さんが言った。
「どこか2人きりになれる場所で話したいと思うけれど、僕らにはそんな場所がない。ここしか居場所がない。そういう運命なんだ…」
本当にそうだった。
この店を出たら私と田所さんは、また別の方向へ歩き出す。