窓際のブラウニー
一緒にいる所を見られては困る関係。
すぐ近くに光る近所の目。
「伝えたいことがたくさんあるけれど、どれも伝えてはいけないことのような気がするんだ。」
田所さんは、天井を見つめたまま、唇を噛み締めた。
少し眉を下げて、切ない顔をした。
大きく息を吸って、田所さんが視線をコーヒーに戻す。
そして、息を吐く。
「もう、僕らは会わない方がいい。」
私は何も言葉を発さなかった。
何も言えないまま、店を出た。
どうにか、涙には気付かれなかったようだ。
さよならも言えなかった。
カランコロン・・・と鳴るドアを閉めると
もう私と田所さんは目を合わすことなく逆の方向へと歩く。