窓際のブラウニー
第16章【再会】
季節は巡り、また冬が来た。
冬の終り…
田所さんと初めて会った日から1年が過ぎようとしていた。
バスの中でブラウニーをもらった日から
私の中で何かが動き出し、それは今も変わることがなかった。
私は二度、ブラウニーを焼いた。
美味しく出来なかったので、一人で食べた。
あの店には一度も行かなかった。
行くと、眠らせたはずの私の欲望がまた動き出しそうで怖かった。
田所さんと触れ合ったあのときめきを
忘れることはできないけれど、忘れる努力をした。
毎日心の中で話しかけてしまう癖は直らない。
・・・田所さん、どうしてますか?
・・・田所さん、もうすぐ春ですよ。