窓際のブラウニー
この一年いろんなことがあったようで、何もなかったのかも知れない。
我が家は何も変わっていない。
一年前と同じように、家の中には冷え切った空気が漂っていて、それを気付かないふりをして過ごす3人。
家の中には、3人のため息が渦巻いていた。
唯一変わったことと言えば、私は田所さんという安らげる場所を見つけた。
会えなくなった今も、その安らぎの場が消えることはなかった。
安らぎと言うよりも、逃げ場なのかも知れない。
我が家の問題は何ひとつ解決していない。
私は辛いことがあると、田所さんを思い出し、現実から逃げた。
そのせいで、より、家族は崩壊して行った。
あの人はこんなことを望んではいない。
私に幸せになって欲しいといつも言ってくれた。
私は田所さんの手を待っていた。
ここから連れ出してくれるあの大きな手・・・
でも、田所さんの出した答えは違っていた。
雪子さんを愛している。
一生・・・