窓際のブラウニー
変わっていない。
何も言わなくても心を読まれてしまう。
少し先にかかっている橋に向かって走り出した田所さんはあっという間に私の隣にいた。
「だめだよ・・・笑っていてくれなきゃ。」
白と青のストライプのシャツにGパン。
髪は少し短くなっていて、ひげも綺麗に剃られていた。
「私、幸せですよ・・・」
喜んで欲しくて、嘘を言う。
でも、その嘘を見抜いてくれるんじゃないかと期待していた。
「嘘だ・・・悲しい目をしてる。」
田所さんは、私の精一杯の笑顔を見て、悲しい顔をした。
「僕がどれだけ真千子さんを想っていたか、真千子さんは知らない。何でもわかるんだ。
あなたは今、幸せじゃない。」
明るい太陽の下。
近くの公園から子供の声が聞こえる。
近所の奥さんが見ているかも知れない。
でも、そんなことはどうでも良かった。