窓際のブラウニー
「僕は、あなたに出会って、恋をした。それだけで充分幸せです。これからもあなたが笑顔で生きてくれることを願って、僕は生きていく。それでいい。」
私は、田所さんの頬に流れる涙をそっと拭った。
とても美しい涙だった。
「あなたが幸せであればそれでいい。どうしても僕が必要になったら、僕の所へおいで。僕はいつでもあなたを受け入れるから。」
涙が溢れて、桜の花びらがぼやけて見えた。
流れの速い川の水の中に沈んでは浮かび、乱れる桜の花びら。
手をぎゅっと握り合い、その川の流れを見つめていた。
さっき散った花びらは、もう遥か遠くまで流れていた。
さよならが近いことは2人とも感じていた。
もう会えないことも
もう忘れなくちゃいけないことも、
痛いほど感じていた。