窓際のブラウニー
「キス・・・しようか。」
私が頷く前に、田所さんの顔が近付いた。
優しく熱いキス。
今度こそ最後のキス。
私は一生忘れないだろう。
この燃えるような気持ち。
愛しているのに、それ以上大事なものがあることに気付いてしまった。
まだ期待している自分がいるのに、どこかであきらめていた。
これ以上何を言っても、田所さんを苦しめるだけ。
「愛してます・・・」
私は唇が離れるとそう呟いた。
「僕もだよ。真千子・・・どうか、負けないで。僕がいつでも見ているから。」
田所さんは決して、『離婚』という言葉を出さなかった。
でも、話し合いをして、どうしても耐えられない状況になったら逃げなさいと言ってくれた。
でも、僕はそれを望んではいない、と最後に付け加えた。