窓際のブラウニー
第17章【向き合うこと】
一歩家へ足を踏み入れると緑茶の良い匂いがした。
田所さんとのさよならが、家につくと同時に心に広がった。
さよなら・・・
涙が溢れ、玄関に座り込んで泣いた。
私が泣いても笑っても、この家の人々は誰も気にしないだろう。
「・・・真千子さん、泣いているの?」
顔を上げるとお義母さんが立っていた。
どうして、こんな日に限って、優しく声をかけてくれるの?
お義母さん・・・
私はほんの1%残っていた田所さんとの未来への期待を、完全に消されてしまった。
これで良かった。
この家を、この家族を・・・
選んで正しかったんだ。