窓際のブラウニー
「俺も同じだって気付いた。今さらムシがいいと思うだろうが。離婚されるのが怖くて、嘘を言ってるんじゃない。本当に、今気付いた。最低だな、俺は・・・」
夫はベッドの端に腰かけたまま、両手を自分の太ももに挟み、小さく体を揺らしていた。
「私も向き合うことが怖くて、ずっと逃げてきた。でも、こんな夫婦になりたくて、私達結婚したんじゃないよね。」
お義母さんが、早く部屋に戻ったのも、私達を気遣ってのことだったのだろう。
「俺、変われると思う?」
「思わない。」
「ははは・・・きついなぁ、真千子。」
名前を呼ばれたのは何年ぶりだろう。
私の目に映った夫は、昨日までの夫とは別人だった。
あの冷めた目をした夫ではない。
目を合わそうとしなかった夫ではなく、私の目をじっと見て、何かを訴えようとしていた。