窓際のブラウニー



「あ、それとさ・・・誤解してると思うんだが、一線を越えたこと、ないから。信じてくれないかも知れないが、結婚してから一度も、体の関係はない。それに・・・心も奪われたことはない。」



こんな表情を見たのは初めてだった。



自分の身の潔白を私にわかってもらおうと必死になる夫が、愛しく感じた。



「俺、なんだか必死だな。」



照れ臭そうに笑った後、目頭を押さえた。




「もうだめか。俺とやり直すのは無理か?」



夫の涙には涙が浮かんでいた。



どうして?


どうして泣くの?


どうして、そんな悲しい顔をするの?




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