窓際のブラウニー
お義母さんは、介護センターへ再び通い始めた。
そして、得意の習字を習うことになり、家では習字の練習の為自分の部屋で過ごすことが多く、ちょうどいい距離が保たれた。
賞を取った作品をリビングに飾った。
『絆』をいう文字に込められたお義母さんの想いを、しっかりと受け止めようと思った。
お習字教室に迎えに行くと、お義母さんは嬉しそうに私の元へ近付いた。
友達や先生に、「優しい嫁でしょ」と自慢してくれることもあった。
それでもぶつかることはあった。
ささいな言動で気まずくなると、お義母さんは甘いものを私にくれた。
私は時々ブラウニーを作り、それをお義母さんと一緒に食べた。
お義母さんは何度作ってもその名前を覚えられず、「あの茶色いお菓子」と言った。