窓際のブラウニー
第3章【背中】



夫は今日も帰りが遅い。



「真千子さん、あの子はまだ帰らないの?」



10時からのドラマを見ようとソファに腰掛けた途端に、お義母さんがリビングにやって来た。




晩御飯の洗い物を終えたばかり。



明日の朝食の為にお米を研いで、タイマーをセットしたばかり。




私はやっと今、座ったんだ。




「あら…のんびりしてるのね。あの子は遅くまで働いてるのに。」




我慢することは、とても疲れる。



切れて言いたい放題言えればどれほど、楽になれるだろう。




「お義母さん、お茶飲みますか?」




嫌味や小言を言われた時、言い訳をしても何か言い返しても、何も生まれない。




それなら、話をそらすしかない。






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