窓際のブラウニー
第5章【女であること】
最後にバスを降りた彼は、ポケットから出した名札のようなものを首からかけた。
私達付き添いは中に入ることなく、違う部屋で待つ。
今日ばかりは、お義母さんと一緒に中に入りたいと思った。
彼のもっといろんな顔が見たいと思った。
気になってしまったのは彼が指輪をしているかということ。
見えなかった。
ブラウニーをもらった時は、緊張していて、余裕がなかった。
どうしようもないけれど・・・
これくらいのときめきがあっても罪にはならないであろう。
私は頑張り過ぎていた。
私の限界はとっくに超えていた。
私の心のダムは今にも溢れだしそうで、決壊寸前だった。