窓際のブラウニー
トイレの中で…
いつもの景色を眺めながら…
鞄の中から財布を取り出した。
名刺。
今の私を救ってくれるのは、
唯一この名刺だけ。
下の部屋から、たいやきを紙袋から出す音が聞こえた。
私は、携帯電話をポケットから出し、
メール作成画面を見る。
彼のアドレスを見つめた。
もう止める理由もない気がした。
これくらいのことは許されるんじゃないか。
この生活の中に、ささやかな幸せやドキドキを求めて
何が悪い?
【真千子です】
それだけをメールで送信した。
そこに込められたメッセージを彼は読み取ってくれる?
『助けてください』