窓際のブラウニー
第7章【踏み出した一歩】
こんなにも簡単なことだったんだ。
夫以外の男性と連絡を取ること。
夫以外の男性を『男』と見ること。
誰かに頼るなんて
久しぶりすぎて、どうやって頼ればいいのかわからない。
いつも
風に飛ばされそうになっても、ひとりで足を踏ん張っていた。
細い窓から
スーッと入る風は、彼に似ていた。
静かに
そっと
私の心に入ってくる。
返信に困っていると
もう一通メールが届いた。
まだ登録していない彼のアドレス。
【大丈夫?】
男の人から言われる『大丈夫?』ってこんなにも嬉しいんだ。
何をしていても
最近誰もそんなこと言ってくれなかった。
私が言うばかり。
『お義母さん、大丈夫ですか?』
『あなた、時間大丈夫?』
田所さんに寄りかかりたい。
田所さんに甘えたい。
【私は幸せそうに見えますか?】
メールを送信した。