窓際のブラウニー
第7章【踏み出した一歩】



こんなにも簡単なことだったんだ。

夫以外の男性と連絡を取ること。

夫以外の男性を『男』と見ること。




誰かに頼るなんて

久しぶりすぎて、どうやって頼ればいいのかわからない。



いつも

風に飛ばされそうになっても、ひとりで足を踏ん張っていた。



細い窓から

スーッと入る風は、彼に似ていた。



静かに

そっと

私の心に入ってくる。





返信に困っていると

もう一通メールが届いた。





まだ登録していない彼のアドレス。



【大丈夫?】



男の人から言われる『大丈夫?』ってこんなにも嬉しいんだ。





何をしていても

最近誰もそんなこと言ってくれなかった。



私が言うばかり。



『お義母さん、大丈夫ですか?』

『あなた、時間大丈夫?』



田所さんに寄りかかりたい。


田所さんに甘えたい。




【私は幸せそうに見えますか?】


メールを送信した。




< 61 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop