窓際のブラウニー
バスの時間まであと20分。
あと20分で、私を救ってくれる人に会える。
我慢我慢。
「お義母さん、ごめんなさい。気分悪くされましたか?」
謝りたくなんてない。
本当は私も投げたい。
山積みになった朝食の洗い物のお皿を
部屋の壁へ思い切り投げたい。
割りたい。
ぐちゃぐちゃになった部屋を
そのままにして、この家から飛び出したいと何度も思った。
お義母さん、わざとですか?
聞こえるように大きな声で話すのはどうしてですか?
「ちょっと聞いてよ。うちの嫁ったらね、ケチなのよ!」
電話をする相手はいつも決まっていた。
同居する前にお義母さんが住んでいた家の隣の奥さんだ。
同居している者同士、時々電話をしては愚痴を言っていた。
知ってはいたが、
ここまではっきり聞こえるように言われると、参る。
「パンも食べさせてくれないの。自分は洋服とか買うのにね…」
ここ1年、私は洋服なんて買っていない。
私は
出かけると必ずお義母さんにお土産を買ってきた。
甘いものが好きなお義母さんに喜んで欲しくて
やっぱり、嫌いじゃないから…
喜ぶ顔が見たかった。
バスの時間まであと5分。