窓際のブラウニー



日差しがもう春らしく変わっていた。


いつも同じ場所で寝ている猫が、今日もその場所にいた。




ただ走った。



私が世界で一番不幸だなんて思わない。


もっと苦労している人はたくさんいるし、嫁姑の仲もまだましな方かも知れない。





でも、


私の限界は


とっくに超えていた。






助けて。


田所さん。






祈るように


バスを見つめながら走った。





信号が赤になった。





それを、神様からの 『あなたは間違っていない』というメッセージだと信じた。








こんなに走るのは

PTAのリレー以来だ。



何年ぶりか計算できないくらい昔。





追いついたバス。



歩道にいる私に気付く人なんていない。




ただ


あなたの顔が見たかっただけ…





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