窓際のブラウニー
白い砂は、引力に逆らうことが出来ず、落ち続けた。
最後の最後まで、落ちないでおこうとする砂には、私の願いが届いたのか。
「さ、帰りますか。」
さっきまでの熱い目は、爽やかな目へと変わっていた。
田所さんの頬から離れた私の手は、寂しい寂しいと泣いていた。
「ここは、僕のおごりで…!」
そう言って、Gパンのお尻のポケットから黒い財布を取り出した。
長年使っているであろう田所さんの手に馴染んだ財布。
財布から1000円札を取り出して、おつりをレジの横にある募金箱へ入れた。
「いつもありがとう。」
マスターは、お礼を言いながら、私に会釈した。
田所さんの動きには無駄がなく、いつもきっとそうしているだろうと予測できた。
彼はいつも1000円札を出して、そのおつりをこの募金箱へ入れるんだ。