窓際のブラウニー
第11章【彼の秘密】
朝、機嫌の悪いお義母さんを残し、一人で家を出た。
「昼ごはんの買い物に行ってきます。」
それだけ言って、家を出た。
小さな鞄に携帯電話と財布だけ入れて、
あの場所へ向かった。
とにかく家にはいたくなかった。
向き合うことを避け続けている私達夫婦はいつの間にか
冷え切った仮面夫婦になっていた。
そのことを実感した昨日の夜。
【会いたい】とだけ送った私のメールに
田所さんは何通も返してくれていた。
【どうしました?】
【大丈夫?】
【何があった?】
電源を入れた私は
誰かが自分を心配してくれていることが嬉しくて
涙が出た。