一度の保証(短編集)

5

あたしは、三角座りのままうとうとしていた。


待っていた携帯の着信音で、うたた寝していた体が、一気に起こされる。


裕馬だ。


「もしもし?裕馬?!
どうなん?久美と克也」


「留衣ちゃん!それどころじゃない!
久美ちゃんが、ビルから落ちたんかわからんけど…
落ちた!
下に、警察とか来て、救急車で運ばれてった!」


「う…そ…」


あたしは、どうしてそんなことになったのか分からず、裕馬に言われるまま家をでて、裕馬の店まで向かった。


あたしが、着いた時には、久美の姿はなく、そのビルの営業は、ストップされ、裕馬が、どこにいるかを探したが、見当たらなかった。


久美が、どうしてこんなことになったのか、克也と何を話したのか、あたしとのことで思いつめたのか、自ら飛び下りたのか、それとも落ちたのか、理由もありすぎてわからなかった。


「留衣ちゃん。」


振り返ると裕馬がいた。


憎き克也の姿はなかった。


「裕馬」


「克也さん、どっか行ったみたいでさ、おらんねん」


「なんそれ!
どこまで最低な男なん?
ホストとしてじゃなく、人としてどうなんって感じやわ」


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