一度の保証(短編集)
「久美が…
もし、あたしが、久美と全く同じ思いをして通帳作ったら、愛してる人の為のその通帳は、その男のんと同じやん?
愛する人の通帳の暗証番号やで?
自分のにするかなって思って」


「えー?そんな風に考えるかぁ?」


「あたしが、裕馬専用の通帳作る時は、暗証番号は、あたしの誕生日に迷わずするなって考えてん。
だから、やってみた」


「留衣ちゃん…
俺、留衣ちゃんの事 愛してるかはまだわからんけど、必要な人やと思ってる。おらんくなられたら困る。たぶん好きなんかな?」


「あたしも、同じやで。
裕馬に おらんくなられたら困る。必要や。
あたしも、好きなんやと思うわ。
なぁ、裕馬?
久美はな、あの男を愛しすぎて、愛されたくて、あの男に、想い願い生還させてほしかったんかな…?」


「そうやな、そうかもしらんし、騙されてたことが、すごい傷ついて身投げたんかもしらんし、分からんな…」


「うん…
でも、久美にも比はあるよな…
今 ほんとはあんま言いたくないけど…」


「まぁな。
久美ちゃんは、周りが見えてなさすぎやったな」


「それもやけど。
見る目もな…」




5完
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