一度の保証(短編集)
有山 剛は、あたしの両手を持ち 握手のように握ると同時にお札は、あたしに握らせると軽く会釈し言う。



「どうも ありがとうございました。
たった一人の妹なので、愛子の生還が約束されたと分かっても落ち着いていられず、無関係のあなたまでこうしてご迷惑かけてしまって」



「そんな!妹さん 愛子さんが大事で取り乱して当然ですよ!
生還ができるようで 何よりです」



日比野病院前に着き、タクシーが止まる。



「どうも。
ありがとうございます。あの、必ずあとで連絡お願いします。
今は すみません。急ぎますので」



そう言い 彼は、運転手に精算賃を出し「おつりは彼女に」とあたしを見て言い病院内に去って行った。



あの後、剛と連絡を取り合うようになったっけ…。



あたしは、貰いすぎたお金が気になったのと、妹さんのことも気になり、有山 剛さんと もう少し話してみたいと思って、名刺の番号にかけたのだった。



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