一度の保証(短編集)
「でも、そんな。
俺も 仕事がありますし、面倒見れるほど時間も…」



「そうでしょうと思うんだけど、自分の事は、自分でさせて良いから、安全面だけお願いできるかしら?」



「母さんは、多分 了解してくれる話しだと思いますけど、えりなだって 俺といくら兄妹でも、ずっと別に暮らしてたのに嫌でしょ?」



「それがね、それでも 一度でも 一人暮らしのようにできるなら良いって言ってくれてるの。
ごめをなさいねぇ」



「はぁ―」



俺は、溜め息のような言葉のつき方をし、半無理矢理 了解させられたようになった。



「えりなは、すぐにでもって言ってるんだけど、太一さんにも予定があるわよね」



「はい。えー、じゃあ えりなに代わってもらえます?」



年に一度 逢っていたか逢っていなかったかのえりなと話すのも久し振りだったが、今 自分の生活が 脅かされかけているとなるなら、話しは別だった。



「ちょっと 待っててね」



待ちメロディを聞き、片足で貧乏ゆすりして待つ。



早く風呂入りてぇのに早くしてくれよ。



そう思っていると、曲が止んだ。




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