一度の保証(短編集)
「うん!嬉しい!本当に感謝してるよ」



えりなは、潤む瞳をして俺に笑いかけた。



「そっか。そんなに喜んでもらえたなら良かったよ」


「うん」



福を呼び込んでくれそうな笑顔で、止まっていた手を動かす。



俺は、部屋の中へ入って行き、まだ開けられていない段ボールで、えりなの母の字で書かれたであろう タオル等と記された箱を開け言う。



「まだ、夕飯には早いから手伝うよ。
後で、風呂とかこのタオルとかの場所もくわしく教えるよ」



俺は、綺麗に洗濯され たたまれた大きさの違う三種類のタオルを、丁寧に出してゆく。



「ありがとう。
あ、あのね…」



えりなが、俺を見て何か言いにくそうにしてモジモジしている。



「ん?」



「あ、あの〜…」



「なに?」



俺は、言いやすいようにと、優しく笑いかけてみる。



「パパとママには、内緒にしてほしいんだけど、あたしね、来週から友達と一ヶ月間 旅行に行きたいの!」



「は?」



思いがけない話題に、顎に力が入らず口を開けてしまった。



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