一度の保証(短編集)
ただ歩いているだけでも、いつも住んでいる街とは、あきらかに違う街は、俺と紗和を十分に楽しませてくれている。



こんなに都会が楽しいと思えたのは初めてだ。



田舎は、確かに良いし、10回中 全部を旅行するなら行きたいのは空気のいい田舎だが、こうして一度くらい他の街を見るのも意味がある。



「ねぇ、太一、来て良かったね」



日頃以上に大胆に べったりくっついている紗和は言う。



「おう。来て良かったよ」



「これが有名な通りなんでしょ?」



「そうだろうな。見た事あるし、この橋なんてよく撮されてるし」



「うん うん、知ってる。本物だね。
でも、恥ずかしくて写真はとれないよ」



「まぁな。そこ右に曲がろうぜ」



「うん!私 ここも行きたかったの」



「俺も」



更に俺達は、有名な道を進んでゆく。



「ここなら知らない人ばっかりだし、誰の目も気にせず太一とくっつけるよ。
やっぱりなんか普段とは気持が違っちゃう」



照れて言う紗和は、やっぱり可愛く、会社とは違って 女の子だなと思わされた。



< 172 / 201 >

この作品をシェア

pagetop