一度の保証(短編集)
「好きなだけくっついていいよ」



穏やかに紗和に言うと紗和は、俺の顔を見てまた照れたのか下を向き、歩いて組んでいた腕に少し力を加え ぎゅっとしてきた。



紗和から顔を上げ、賑やかな街に視線をうつすと、前に歩く二人の女の子の後ろ姿に見たことあるストレートの長い黒髪がいた。



「え?」



「え?私 何も言ってないわよ?」



俺の声に 反応する紗和



「いや、違うんだ。あれ」



俺は、指差した先にいる女の子を紗和に見せる。



「あのきれいな子?なに?」



「えりなだ」



「妹さん?」



「ああ」



「ここに来てたんだね。足 すごくきれいな子じゃない」



「短いのはきすぎじゃないか?!」



「あら、父親気分??」



ふっと笑い言う紗和



「そんなんじゃねーけど」



「心配なら行き先も特にないし、ついて行ってみる?探偵みたいでしょ?」



「バカ言うなよ。そんなきもい事できるかよ」



「でも、妹なんだからいいじゃない。
それに、こんな街中に毎晩いるのかもしれないと思うと 私も少し気になるし、真剣に大丈夫なのかせっかくだから少しだけ見てみましょうよ?」
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