一度の保証(短編集)
紗和に言われ、背中を押された俺は、素直になれた。



「そうだな。ごめんな紗和。せっかくの旅行なのに付き合わせて」



「どうして?私がしたいから言ったのよ?」



にこっとよく見せる安心させてくれる笑顔に、今回はみとれた。



「はぁ〜、俺も どこか人が良いよな。好きにさせとけばいいのにさ、こんな風につけるなんて」



片眉を下がらせ言う俺を紗和は、愛しいそうに見ていた。



「ありがとう 紗和」



紗和は、返事のかわりに、小さな力でぎゅっと腕にしがみついた。



俺達は、前を歩くえりなの後をつけて行く。



目的地が決っているようで、迷いなく進むえりな達を不審に思いはじめながら、一つの店へ入って行ったえりな達を確認し、何の店かを確かめに俺達も店の前まで行った。



「どうして こんな場所に…」



俺は、えりなに不釣り合いとも思える場所に入っていった店を、暫し ここだったか?と疑い見ていた。



「ホストクラブ?よね?」



紗和に確信をつかれ、認めるしかなかった。



「気になるわよね…」



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