一度の保証(短編集)
「是非 今度」



裕馬君のその人への笑顔は、あたしに向けられているのと よく似ていて、向けられる笑顔が、特別ではないと 痛感する。



嵐のように女の人は去って行き、裕馬君の顔は、あたしへともどった。



「今の人…」



「昔のお客さん。
あの人 9年前に 関東の方、どこやったかな?から出てきてな、結婚もしてないみたいで、俺らみたいな若いホストと遊んで暮らしてはるねん」



「そうなんだ…」



すっかり話しがそれ あたしには、もう一度 言うなんてできなかった。



これで 良かったのかも…。



「ファーストキス?」



「えっ?」



「21才やもんなぁ、そんなことないか」



「ファーストキス!」



「マジ?」



「まじ!」




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