一度の保証(短編集)
「じゃ、 辞めとこ!」




「ど、どうして?!」




「だって ファーストキスって 一生の思い出やん。 一生俺の顔思い出させる事になるやん。
結婚してる男やで?
そんな事 させられんわ」




「いいの!」





「俺が 良くない」





「じゃあ、ファーストキスじゃなかったら してくれてたの?」




「うん。してたな」




裕馬君は、いつもあたしを胸きゅんさせる顔で、にっこり笑って答えた。




「いやだ。いやだよ」




あたしは、涙が ぽろぽろ落ちてきた。




女の子に泣かれ慣れてるのか、裕馬君は 動じず、あたしの頭を自分の胸に引き寄せ ポンポンとずっとしてくれた。






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