一度の保証(短編集)
「分かったわ。
とりあえず、私の家に行かない?
落ち着いて話したいし」


早苗は、赤いバックを握り締め言った。


「うん。そうだね。
それから、真っ先にちゃんと言わなくちゃいけなかったけれど、早苗、ありがとう心から感謝するわ。
私、早苗に一生頭が上がらないわね」


私は、早苗の両手を強く両手でバックのひもごと握りしめ目を見て言った。


早苗は、私を見て安心したかのように瞳をうるませると、私たちが握りしめあっている手元に視線を落とし、言う。


「さとみ」


「早苗、会社には今日戻らなくていいの?」


「ええ、そのつもりだけど」


「じゃあ、私 何も食べてないから、一緒に食べながら話しましょう?」


「そうね。いいわね、じゃあ、うちにある良いワインをあけちゃうわ」


早苗は、にこりとして言った。


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