一度の保証(短編集)
ママは、一つマドレーヌを食べると、片付けをする為、洗い場に立った。


あたしは、二つ目のマドレーヌを、半分まで食べていると、ママが振り返り言う。


「桃華?!それ何個目なの?!三つ目でしょ?!
いつまで食べるつもりなの!!」


「え?ママ これ二つ目だよ?」


「ポロポロ溢れるからいつまでも食べてないで早く食べなさい!!」


そう言われ、急いで残りの半分を口の中に無理矢理押し込み水分のない口の中にお茶を流し込む。


手についたカスを払おうとすると、前にあるお皿をママが水に濡れた手を出してきて持っていってしまった。


やり場のなくなった両手をカスが落ちないようにと、動かさず洗面所に歩いて行っていると、背後の近い場所から大声がした。


「ももか!!なにしてるの!!汚い手で歩き回らないの!!」


体ごと振り向き、ママを見ると角がはえてきそうな顔面をしている。


「ほらっ!!今 落ちた!早く手拭くか、洗うかしなさい!!」


そう言われ、あたしは、目指していた洗面所に行き、手を洗った。


こんなことは、なんでもない。


日常茶飯事

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