一度の保証(短編集)
あたしは、ブラックライトが光る店の中へ入り、相手の姿を探す。


一人、カウンターから離れたテーブルに座り、細長いガラスのコップを傾けている男性の後ろ姿を見て近寄って行く。


「しげっち!
おまたせ〜」


あたしは、しげっちの前に顔を出しにっこりスマイルしてしげっちの目をみた。

「留衣ちゃ〜ん 早かったなぁ。
俺、まだ一杯目頼んだとこや。」


「そうなん?
じゃあ、あたしも一杯目頼むわね」


あたしは、しげっちと向かい合わせに腰をかけた。


「なんでも好きなん頼めよ」


「うん、ありがとう」


あたしの頼んだカクテルが運ばれてくると、しげっちが言う。


「おつかれぃ」


しげっちの掛け声で、しげっちの半分に減ったグラスと合わせ乾杯する。


喉を潤したあたしにしげっちは、笑顔で言う。


「なんか 軽く食べてこか」


「うん!
しげっち、今日は、スーツじゃないねんなぁ?」


「今日は、休みや」


「そっか!不動産屋さんやから平日休みなんや!」


「そう!それで、今日は同伴もできるねん。
いつもは、仕事終ってからやと無理やからな」


「あはっ
そっか。ありがとう。
しげっち好きやわ」
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