一度の保証(短編集)
「もう ええって〜
営業で言われても、俺 喜んでまうから〜 留衣ちゃん」


「あはははっ」


「おっさんを、からかわんといて」


しげっちは、笑顔であたしに言うと、グラスを飲み干し、メニューを手にした。


「あははっ
しげっち、営業じゃない
から。
それに、全然しげっちおっさんじゃないし、若いし」


「ほんまにそう思ってんかぁ〜?
留衣ちゃんから見たら、おっさんやろ?」


「いつもゆってるやん!
違うって〜、まだ34やろ?若いやん!
それに見た目は、二十代後半にしか見えへんし」


「ほんまか?嬉しいこと言ってくれるなぁ」


そう言い、にかっと笑うと、しげっちは、メニューを持ってない方の手を軽くあげ店員を呼んだ。


店員が、あたし達のテーブルへ来てオーダーを取ってくれる。


「俺、これちょうだい。
留衣ちゃんは?まだいい?」


「うん。あたしはまだあるからいいよ」


「じゃあ、そんだけで」


しげっちは、店員に、二杯目のカクテルを頼むと、あたしの方を見た。


「何?」


あたしは、何も言わないしげっちに言う。


「いやぁ。こんなに早い時間から逢えるなんて久しぶりやなと思って」

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