* 禁断の果実 *
そのあとも撮影再開の声がかかるまでマーと話して
撮影が終わったら新しく入れてもらう、ワンクールドラマの顔合わせを会議室でしてから仕事終了。
終わったのは夜中の2時過ぎ。
労働基準法とかそういうのもあるけど
そんなのいちいち守ってたら埒があかないって事で18以下のアタシでもこんなのはザラ。
ま、未成年でもお酒手にして商売してる人だっているしね。
読モになったのは親が死んでからすぐ。
スカウトされてたのを断り続けてたけど
生活費が必要になったし
何て言っても何かに逃げてないと可笑しくなりそうだったから
今となってはもうひとつ理由があるけど…
「ただいまぁ」
ものすごい小さな声で呟いて静寂な玄関を通る。
真っ暗なリビング。
電気をつけるとテーブルの上にある料理と
"食えよ"
って一言。
ほんわかとする心…
着てるコートをかけようとしたときソファーの上に丸まって置いてあった和のも見つけて
自分のをハンガーに通してから
和のもかけた。
シワを伸ばすようにちょっと叩いたら
不意に甘いフレグランスが鼻を霞めて…