* 禁断の果実 *
睨むように見上げると
クスッと笑って
「そんな怒んなって(笑)
先、下行ってるから」
シーツをふわっとかけておでこにそっと唇がおとされた。
片手をひらっとさせながら部屋を出ていく後ろ姿を見送って
重い体をゆっくり起こす。
甘くて怠いのは
「和哉…」
あなたのせいで…
向かい側の鏡に映る、
私に咲いた、たくさんの赤い華。
幸せなのに
曇りがかる心のなかは
きっと
曖昧にも残る常識から。
きっと
ダメ、だと分かる甘い果実に手を伸ばしてる罪意識から…