元 彼 依 存 症
顔を洗い、おもむろに朝食の支度を始めた。
急にオムレツを焼く音以外何も音がしないことに気づき、何だかちょっと物足りないというか、寂しい感じがした。
コトン、と机に食器を置くと、傍に置いていたリモコンを手に取り、テレビを点ける。
テレビでは、いつものようにニュースが流れていて。
日常の、よくありふれた光景の筈なのに、どこか物足りないのはいつも傍にいてくれる家族がいないからだと思う。
実家から大学に通うには遠かったこともあり、大学生になってから私はひとり暮らしを始めた。
この『空間』で過ごすのはまだ数日しか経っておらず、まだどうも違和感がある。
「…まさか、もうホームシック?」
心の中で起こった言葉を思わず呟きながら苦笑し、急いで朝食を終わらせ、私は食器の片付けを始めた。