See you again.《短》

視線を下ろして、椅子に座ったままの先生を真っ直ぐに見つめる。

「やっぱり文系科目は学年トップクラスなだけあって、理解力はあるんだな」

すると私の表情から全てを悟ったらしい先生は満足げに、新しい煙草に火を付けた。


紫煙を吐き出す先生に一歩一歩近付いて、先生の目の前でピタリと足を揃える。

大嫌いで大好きな煙草の匂いが、私の体を包んでいた。


一〇秒間、五感の全てを駆使して、先生をしっかりと心に焼き付ける。

そうしていると、なぜだか泣きたくなった。


だけど、ここで泣くわけにはいかない。

私は涙を堪えながら、ギュッと拳を握る。

そして先生の問題に対する答えを伝えるために、口を開いた。
< 19 / 21 >

この作品をシェア

pagetop