See you again.《短》

ドアが開く音がしても、ドアが閉まる音がしても、後ろを振り返らずに、窓からグラウンドを見つめる。

そうしていると、コツコツと靴と床がぶつかる音が響いた。

だんだんと近づいてくる人の気配。

それは私の後ろで動きをとめたけれど、まだ、振り返ってはあげない。

“最高の音”を聞いたあとでなければ振り返らないって、決めてたんだから。


「……出雲(イズモ)か?」


そして、フワッとした風が窓から入ってくるとほぼ同時に。

私が待ち望んでいた“最高の音”が、私の耳に届いた。
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