See you again.《短》

ゆっくりと窓を閉めたあと。

念のため髪を整えて、くるりと振り返る。


「よく気付いたね。先生」

そこにはメインイベントにはかかせないゲストが、いつもの白衣ではなく、スーツ姿で佇んでいた。


先生は私を上から下まで確かめるように見たあと、視線をドアへと流す。

そして視線をもう一度、私へと戻すと。

「そうか。出雲には鍵なんて関係ないのか」

納得したように、ニ回頷いた。


相変わらず、着眼点がずれている先生だな。

くすくすと笑う私を気にもとめないで、先生は自分の椅子に座りながらネクタイを外す。

どうやら、堅苦しい服装は苦手らしい。
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