See you again.《短》
鞄の中から出てきた手には、ネクタイのかわりに煙草の箱が握られていた。
先生は箱の中に仕舞われていた安っぽいライターを取り出すと、当然のように煙草を一本くわえる。
そして火を付けたあと、机の引き出しに隠してある灰皿を取り出した。
何十回と見たその光景が懐かしく思える事実に、胸がほんの少し痛んだ。
「先生。ここ火気厳禁じゃないの?」
その痛みをごまかすように、その光景を見るたびに零した言葉を落とす。
すると先生は教師とは思えない、歪んだ笑みを作ったあと。
「細かいことは気にするな」
いつも通りの返事をくれた。