See you again.《短》

「ありがとう。俺は出雲のこと、一人の人間として大好きだよ」

先生は私の告白に驚いた様子もなく、サラリとそう言った。


予想はしていたけれど、いくら私の気持ちに気付いていたからって、もう少し驚いてくれてもいいと思う。

だけど不思議なくらい、私の気持ちはすっきりとしていた。

それはずっと心残りだった気持ちを、告げることが出来たことと。


「……そこは“一人の女として”って、言ってほしかったな」

「それは無理だな。俺が女として好きなのは奥さんだけだからな」

先生が嘘をつかない人だからだろう。

だからこそ、一人の人間としては好きだという言葉を信じることが出来る。
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