スロウ・メロウ


否定の言葉が出なくなった。


「え……あ……」


違う。そう言えばいいじゃねえか。いつもみたいに笑えよ自分。


なんでこんなに虚しい?
なんでこんなに苦しい?


「梶?聞いてるんですけどー」

「あ、ワリィ」


運んだのも、濡れタオルも、ギリギリまで居てやったのも自分だ。


山代じゃねえんだぜ?あおい。


「ねえ陸上部で一緒でしょ」


キラキラな笑顔が今は苦しい。イライラしている自分に腹が立ちながらも出た言葉は

「アイツ無愛想だぜ?そんなことまでするとは珍しいなぁ」


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