スロウ・メロウ


「へえ」


ひとしきり喋るとあおいは口元を緩ませた。なんだよ、そのリアクション。


「ありがと」

「いーえ」


もうこの話題から逃げてえ。その一心で時計を見たらそろそろSHRの時間だ。


「あおい、帰るぞ」

「了解さー」


ほくほくしているその姿が妙にイラついた。……チッ、サボりたいぜ。


そしてまた俺はあおいの右手をそっと取る。これが俺とお前を繋いでるモノなんだろうか。


「お前身長伸びねえなあ」

「大きなお世話」


いつまでこんな会話ができんのかとガラでもないことを考えた。


それはきっと今までしたこともない他の男子の話をしたからだと思うけどよ。


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