スロウ・メロウ
「お前普段マトモにノート取らねえのにな」
軽口をたたいたつもりだったのに。あおいはやけに真剣な目をしていた。
「余計なお世話ですー…やっぱり梶と山代くんじゃ全然違うよねー扱いが」
「ワリィかよ」
「梶らしいから別にそれはいいけど」
フンと鼻から息を吐く。長年無駄に付き合ってんだ扱いが変わって当然だろ。
「でも山代くん、不器用だけど……優しい人なんだね」
振り向いた先にいつものあおいはなかった。頬を赤く染めて、口許を緩ませながらプリントを見つめている。
――…マジかよ。