スロウ・メロウ


あおいは山代が好きになるだろう…いずれ。そして山代は多分あおいが好きなんだろう?それでいいんじゃねえか。


「梶間くん、タイム計りますよ」

「あ、あぁ」


白いラインに前足に体重をかけるようにしてクラウチングスタート。


「はいっ」というマネージャーの甲高い声が響き、駆け出す。


普段なら風と一体化して回りの音も景色もなにも感じなくなる。真っ白な世界に風だけを感じていられるのに。


「くそっ」


邪念か、これは。脳裏に山代とあおいのふたりがちらつく。そばで山代が走ってるのもさらにそれを濃くした。


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